Calc Tips(1)

オープンソースソフトウェア(OSS)であるOpenOfficeもこの2〜3年いろいろ動きがありました。
OracleSun MicrosystemsからOpenOfficeを受け継いだ(と言うか、SunがOracleに買収された)と思ったら、LibreOfficeが分離独立して、今度はOracleOpenOfficeApache財団に移行するとか。

LibreOfficeが分離独独立したのは、Oracle下でのOpenOfficeの開発が中断されるのではないか(実際OpenOfficeのバージョンアップは、LibreOfficeに遅れをとっているようです)、あるいは何らかの制限がかけられるのではないかとの懸念からであったと言うことですが、実際、OracleOpenOfficeコミュニティへの関心も低かったようです。

まあ、個人の利用者としてはMS Officeとの互換性や使いやすさが向上するようであれば、OpenOfficeでもLibreOfficeでもどちらでも良いのですが、導入している組織(利用者である会社や自治体と、サポートしている会社や団体)としてみれば気になるところではあるでしょう。

そして、我々個人でのOSS利用者にとっての情報のよりどころは、やはりネット上の色々な個人や団体からの情報です。

ネットや雑誌上のMS Excelの記事は膨大な数が存在しますが、Excelの全体的・体系的な解説の他に、ちょっとしたことだけれど知っておくと便利、と言った内容のものがあります。

このBlogでは、このTips的な内容をCalcについて記述していこうと思います。
ネットや雑誌に数多く存在するExcelのTipsを元に、Calcとの対比で記述していこうと思います。

とは言っても、私自身ExcelやCalcについての知識が多くあるわけではありませんので、自身で少しずつ確かめながらの作業となります。
また、間違いや勘違いも出てきそうですが、そこは大目に見て頂ければと思います。

使用環境

LibreOfficeダウンロード … http://ja.libreoffice.org/home/
この時点(2012年3月)では、3.5系では最初のリリースのため、試験的な導入を薦めています。保守的なユーザーの方には、3.4系の最新版3.4.5の利用が推奨されています。

振り仮名自動入力 PHONETIC()、FURIGANA()

Excelには、PHONETIC()という振り仮名を返す関数があります。
実は私自身、この関数を知ったのは最近のことで、使ってみて結構感動しました。

ところが、Calcでは残念ながらPHONETIC()は使えませんが、Furigana Extensionという拡張機能を使うと、FURIGANA()と言う関数が使えるようになります。
なお、Furigana Extension関数を使うには、NAIST Japanese Dictionary for Furigana Extension(Mecabライブラリ)というライブラリをインストールする必要があります。

つまり、LibreOfficeをインストールした後、

NAIST Japanese Dictionary for Furigana Extension
 mecab_naist_jdic_0.2.oxt
MeCabライブラリ
オープンソース形態素解析エンジンMecab向けの日本語辞書ライブラリ

Furigana Extension
 furigana_0.6_Windows.oxt
振り仮名関数エクステンション
日本語の文章あるいは日本語の文章を含むセルアドレスを引数とし、そのフリガナを返すOpenOffice.org Calc向けのFURIGANA()関数を提供

をインストールします。
これで、FURIGANA()関数が使えるようになります。

ExcelのPHONETIC()関数CalcのFURIGANA()関数
ところで、ExcelのPHONETIC()関数では、メモ帳などからコピーした文字を適用しても、漢字はそのまま漢字のままで出力されてしまいます(つまり、振り仮名が出力されない)。
一方、CalcのFURIGANA()関数では、コピーした文字でも正常に振り仮名が出力されます。
メモ帳から”東京都中央区日本橋”の文字をExcelとCalcのB2セルに貼り付ける。
ExcelのPHONETIC()関数では、漢字がそのまま出力される。
一方、CalcのFURIGANA()関数では、正常に振り仮名が出力される。
このあたりの仕組みはよく分かりませんが、もしかしたらExcelの”ふりがな”の機能は、Excel上で文字を入力したときに振り仮名の情報を生成するものであり、一方、CalcのFURIGANA()関数は、そこにある文字をその都度直接解析し振り仮名を出力しているのかもしれません。

なお、Furigana Extensionをインストールすると、FURIGANA()関数の他に、以下の関数が使えるようになります。

HIRAGANA全角カナをひらがなに変換
KATAKANAひらがなを全角カナに変換
HEPBURN全角カナをヘボン式に従ってローマ字に変換(長音の判別/変換は行いません)
J2HEPBURN漢字かな混じり文字列をヘボン式に従ってローマ字に変換(MeCabライブラリを利用して長音の判別を行います)
A2J半角文字を全角文字に変換(第二引数に0を指定するとカタカナを、1を指定するとそれ以外の文字を変換対象とする)
J2A全角文字を半角文字に変換(第二引数に0を指定するとひらがな/カタカナを、1を指定するとそれ以外の文字を変換対象とする)
色々な拡張関数の使用例。
・元文書
・FURIGANA(元文書)
・HIRAGANA(FURIGANA(元文書))
・KATAKANA(HIRAGANA(FURIGANA(元文書)))
・HEPBURN(元文書)
・J2HEPBURN(元文書)
上記のようにCalcの拡張関数では、振り仮名を
 カタカナ→ひらがな→カタカナ
のように柔軟に変えることができますが、ExcelのPHONETIC()関数ではそこまでの柔軟性はありません(Excelマクロを使えばできるかもしれませんが)。

Excelで振り仮名をカタカナやひらがなで表示するには、元文書のセルの設定を変える必要があります。