選挙制度改革の胡乱

私はあまりテレビは見ません。
特にリアルタイムで見ることはほとんど無くて、見たい番組は録画して見ています。
録画している番組のジャンルのほとんどはスポーツ・映画・アニメ・ネイチャー系ですが、例外的に、毎週土曜日にTokyo MXで放送している『西部邁ゼミナール』も録画しています。

6月15日と6月22日の放送で国会議員定数削減と小選挙区制の問題を、西田昌司参議院議員自民党)と大門実紀史参議院議員日本共産党)をゲストに招いて議論していました。

自民党共産党の議員が党派を超えて共通の問題について議論する、それもおかしいものはおかしいとの共通認識に基づいて感情的にならずに議論する様は、非常に興味深いものがありました。

私は、共産党の基本的な考え方に賛同するものではありませんが、個々の意見には見るべきものもあると思っています。
それは、党の歴史と共に党としての姿勢にブレが無いからだと思います(私にとっては、そのブレ無い内容がちょっと付いていけないのですが)。
産経新聞(電子版 2013/07/01)の『今週の世論調査から』と言う記事では、

【次の選挙でどの党の候補者に投票?】
自民党40.0% 共産党4.8%
民主党4.2% 社民党0.8%
日本維新の会4.0% みどりの風0.4%
公明党2.6% 無所属・他1.6%
みんなの党4.0% 棄権2.0%
生活の党1.4% 未定33.8%
と言う結果がでています。
いくら何でも共産党が二番手というのはちょっとした事件です。
まあ、都議会議員選挙の直後という状況を考える必要はあると思いますが、極論を言えば、個々の政策や制度を考える際には、自民党共産党の意見を聞いていれば事足りるような気がしています。

もちろん自民党共産党の中にも意見の対立はあって、だからこそ私たち有権者は政党やその場限りのマニフェストではなく、人を見て投票する必要があると思います。

小選挙区制の胡乱

【西部ゼミナール】6/22 「小選挙区制は、なぜ議会を倒壊させるのか」

共産党と言えば、先般の東京都議会選挙では自民党の完勝は当然ですが、共産党の躍進が目に付きました。
ウィキペディア 2013年東京都議会議員選挙
https://ja.wikipedia.org/wiki/2013%E5%B9%B4%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E8%AD%B0%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E5%93%A1%E9%81%B8%E6%8C%99#.E9.81.B8.E6.8C.99.E7.B5.90.E6.9E.9C

これは低投票率と組織票の関係の他に、共産党を除いた他の野党の存在意義が(支持・不支持は別にして)あまりにもなさ過ぎたことが要因だったのでしょう。
そして、都議会選挙は小選挙区制でないこと(1人区〜8人区 7人区は無し)が重要です。
 定数1・・・7
 定数2・・・16
 定数3・・・5
 定数4・・・6
 定数5・・・3
 定数6・・・3
 定数7・・・0
 定数8・・・2
1人区では自民党が独占していますが、共産党公明党は複数人区(中選挙区)だからこそ議席を獲得できていると言えるでしょう。

もし仮に、今回の都議会選挙が小選挙区制だったとしたら、自民党は全127議席の内100議席程度は獲得していたかも知れません。
私は支持政党で言えば自民党支持ですが、投票率が43%で自民党の獲得投票率が36%なのに議席の7〜8割を占めてしまうと言う制度は、どう考えてもおかしいと思います。
さらに、もし2009年の衆議院選挙や前回の都議会選挙の時のように、’特に意味は無い風’が吹いてしまうと取り返しが付かなくなる事態となります。

どのような風が吹こうと日本の国体をベースとした健全な政体というものは必要で、その上で例えば憲法改正の問題などの重要な政治課題は良識のある議会での議論を経て国民の審判を得ることが必要と思います。

ところで、小選挙区制で一つだけ良い点があります。
それは、どうしようもない候補者を落選させることができる可能性があることです。
・・・でもこれは本来の選挙のあり方ではないですね。

国会議員定数削減の胡乱

【西部ゼミナール】6/15 「止めよ、議員定数削減の馬鹿話」

この番組でも述べられていますが、そもそも議員定数削減の話が出てきたのは、’消費増税をお願いするから議員の数を減らします’と言ういかにもマニフェスト政治あるいはポピュリズムらしい、あまりにも情けない理由からです。
確かにマニフェスト至上主義に立てば政策や法律を策定する議員も少なくて済むのでしょうが、実際はマニフェストに書かれていない問題が数多く現出するわけで、そのときこそ良質な議員が必要とされることになります。

言うまでもなく議員数は何かと引き替えにその数が決められるものでは無く、あくまで政府や国会での仕事量から必要数が決められるべきでしょう。
また、他国との議員数の比較を持ち出す議論がありますが、その国の国会議員の必要数は国によってそれぞれ異なるはずで、単純な人口あたりの議員数で比較する事も本来は意味の無いことだと思います。

この国会議員の定数削減の話は、反原発の話と同類のような気がします。
原発の問題は現在から将来にかけてのエネルギー問題及び経済問題であって、且つ安全保障上の問題でもあります。
共産党のある政治家が、’昨年と一昨年の夏を乗り切ったのだから、原発は必要ない’と言った趣旨の発言をしていましたが、これは経済問題を無視した発言でしょう。

原発の問題は、まず純粋な技術的な問題を検証しクリアして安全性を確保し、その上で他のエネルギーとのベストミックスで考えるべきものと思います。
そのミックスの中には原発はもちろん火力や水力、再生可能エネルギーメタンハイドレートなどの将来有望なエネルギーを入れて検討すれば良いのです。

本来行うべき本質的な議論や検討無しに原発廃止とか議員定数削減とかを言うのは、その場限りの大衆迎合であり本来の政治家の言うことではありません。
それでも現実的には議員定数削減の風潮が強いのは、それだけ国民が仕事をしていない議員が存在していると思っている(思わされている)ことの査証でもあるのでしょうが、そこはその議員を選んでいるのが誰なのかを考えた方が良いと思います。



今月は参議院選挙があります。
投票は政党や党のマニフェストではなく、なるべく人を見て行いたいものです。
また、比例区では政党名ではなく、候補者名で投票したいと思っています。