’中国産食品は安全’という記事

7月26日の産経新聞に以下のような記事が出ていました。
中国産食品は本当に「猛毒」か? 食品衛生法は輸入食品に厳格だが…
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130726/trd13072611070014-n1.htm

大筋としては、右の統計結果を以て

 食の安全・安心財団(東京都港区)理事長で倉敷芸術科学大学の唐木英明学長は「中国国内の食品がどれぐらい危険かは不明だが、日本への輸出用に管理された食品は日本企業の厳しい監督の下に安全が守られている。『毒食品』を日本が輸入する可能性はほとんどない」と指摘する。
と言う事のようです。
私の感覚から言うと、近頃の中国の環境汚染(地質、河川、空気)の報道を見るにつけ、どうしてもこの記事が言うように「安全」だとは思えません。
’中国 汚染’とかでネットで検索してみるとそのすさまじさに眼を覆いたくなります。
しかも、これらの私たちが知り得る環境汚染の情報はほんの一部で、実態がどのようなものなのか想像もできません。
中国政府は北京からの遷都を考えていると言う話さえ聞こえてくる始末です。
日本の輸入企業は、このような環境汚染の国からでさえ「安全」な食品を輸入できるほど優秀なのでしょうか?(そうであれば、それはそれですごいことだと思いますが。。。)

さらに、この記事では、

 唐木学長は「冷凍ギョーザ事件は犯罪によるもの。食品に毒物や異物を混入する犯罪は日本や他の国でも起こっており、中国産の安全性の問題ではない。犯罪や個人輸入を除けば、中国産による健康被害は報告されておらず、公表されたデータを見る限りでは中国産だけが飛び抜けて危険とはいえない。過剰な心配は不要だ」と話している。
と言う、意味不明なことを言っています。
中国からの輸入食品について、’犯罪による食品の危険性を除外’した上で「安全」だと言っているのです。
中国の犯罪や環境汚染という重大な要素を除いて安全性を語るのは、片手落ちどころか全く無意味だと思います。

ところで、米国や中国からの輸入食品にはどのようなものがあるのか「平成23年度輸入食品監視統計」から見てみました。
・米国の上位5品目(重量ベース)の届出・検査・違反状況

品目 輸入件数 検査件数 違反件数 検査率 違反率
とうもろこし 2,810 2,800 53 99.6% 1.9%
小麦 197 25 13 12.7% 52%
大豆 1,844 203 2 11.0% 1.0%
豚肉 27,297 248 0 0.9% 0.0%
うるち米 398 130 10 32,7% 7.7

・中国の上位5品目(重量ベース)の届出・検査・違反状況

品目 輸入件数 検査件数 違反件数 検査率 違反率
ゆり科野菜 15,367 5,172 5 33.7 0.1%
野菜:冷凍食品 31,214 9,194 30 29.5% 0.3
加熱食肉製品(加熱後包装) 16,090 14,925 8 92.8% 0.1%
魚:冷凍食品 29,417 5,518 12 18.8% 0.2%
切り身・むき身の鮮魚類(冷凍食品を含む) 16,924 3,841 7 22.7% 0.2%

’ゆり科野菜’とは、ネギやタマネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウなどの事です。
これを見ると、米国の違反件数を押し上げているのは’とうもろこし’のようです。(違反件数全体の約30%)
米国は、上位5品目で輸入件数全体の14.2%で、違反件数は全体の44.8%を占めています。
一方中国は、上位5品目で輸入件数全体の17.2%で、違反件数は全体の22.3%を占めています。
これは、中国の場合輸入品目の種類が多い事と関係があるのかも知れません。
平成23年度輸入食品監視統計」には食品の他に、「容器包装」や「おもちゃ」という品目もあって、特に「おもちゃ」についてはほとんどが中国からの輸入となっています。
 (中国)アクセサリー玩具、うつし絵、起き上がり等 違反件数…16件
そういえば、数年前に米国で中国製のおもちゃから毒物が検出されて問題になっていました。

輸入品目で見ると、米国からは穀物類が多く輸入され、中国からは野菜や魚などが多く輸入されています。
輸入される’とうもろこし’の約65%が飼料用であることも考慮すると、加工せずにそのまま料理に使われる食品は中国産のものが多いことが解ります。

一見、数字上の違反率からは中国産の食品は安全なように見えますが、直接口にする事や環境汚染のことを考えるとやはり大きな不安感はぬぐえません。