3年ぶりのスピーカー 〜HARBETH HL Compact7ES-3〜

別に3年ぶりにスピーカーを買い換えた、と言うわけではありません。
それまで色々なスピーカーを試してきて、自分なりに’これは!’と思えるものを選んだ結果2機種になりました。(←過去エントリ
ATC SCM19とHARBETH HL Compact7ES-3という2種類のスピーカーです。

3年と少し前まではこの2つのスピーカーを時々入れ替えて楽しんでいたのですが、あの日以来ずっとATC SCM19にしたままだったのです。
あの日とは、そう、2011年3月11日の事です。

その日、私は外出していていわゆる帰宅難民になってしまいました。
その後のネットで話題になったように、多くの人たちが地下鉄の階段に人が通れる通路を空けつつ整然と並んで腰掛けていたり、行列であふれかえるバス乗り場などを見て回っていたのですが、不思議なほど静かで落ち着いた雰囲気だったことが印象的でした。

朝になって漸く電車が動き出して自宅に帰ったのですが、部屋の中の色々なものが倒れたり落ちたりしているのを見て、(被災地の方々から見れば何でもないようなものでしょうが)初めて大きな地震だった事を知らされたものでした。


その倒れた(落ちた)ものの中に、ATC SCM19があったのです。

考えてみれば、スピーカースタンドと言う不安定な台の上に、インシュレーターをかませた18kgもあるスピーカーを載せているのですから落っこちるのも当然です。

外見上エンクロージャやネットに結構なダメージが見受けられました。
不幸中の幸いは、スピーカー端子に損傷が見受けられなかったことです。
これは、たまたま長めのスピーカーケーブル(金色っぽいケーブル)に接続していたことが幸いでした。
もし、短めのスピーカーケーブル(青白いケーブル)に接続していたら、落ちたときのテンションでスピーカー側の端子のみならずアンプ側の端子も損傷を免れなかったかも知れません。

ATC SCM19のエンクロージャはかなり頑強な構造なのですが、内部がどのような損傷を受けているのかは解りません。
恐る恐る音を出してみたところどうも問題は無さそうでした。

そこで、暫くはATC SCM19を聴き続けよう思ったのですが、これはATC SCM19の様子見という理由の他に余震が怖かったと言う事があります。

もう1つのスピーカーであるHARBETH HL Compact7ES-3への被害は無かったのですが(別の場所に保管)、もしHARBETH HL Compact7ES-3をアンプに繋いで余震によって同じような損傷を受けたら目も当てられない、と言う意識があったのです。
ちなみに、そんなに心配なら暫くスピーカーを使うのをやめたら?、と言う考えは全くありませんでした。。。

そのような経緯があった後、この度3年ぶりにHARBETH HL Compact7ES-3と入れ替えたのでした。

3年ぶりのHARBETH HL Compact7ES-3の音は、一言で言って’懐かしい音’でした。

言うまでもなくアコースティック系の楽曲が秀悦で、HARBETH HL Compact7ES-3は芯のある柔らかさで体全体を包んでくれます。
何より聴いていてホッとする音です。

3.11の震災は、個人的にはたいした被害があったわけでは無いのですが、やはりどこか気を重くさせるところがあって、今思うと何となく’引きずり感’を払拭することができないでいたような気がします。

今回、HARBETH HL Compact7ES-3を久々に聴いてその’引きずり感’を少しでも克服できればと思っています。

ハーベス 2ウェイ2スピーカー【1本】 HLCOMPACT7ES3

ハーベス 2ウェイ2スピーカー【1本】 HLCOMPACT7ES3